名古屋高等裁判所金沢支部 昭和31年(う)382号・昭31年(う)381号・昭31年(う)380号・昭31年(う)383号 判決
食糧管理法施行令第十一条及び同法施行規則第四十七条の定めるところに依れば、法定の除外事由がないにも拘らず、主要食糧の輸送を他人に委託し、目的物を相手方に引渡すに於ては、未だ以て該物件が現実に輸送されるに至らない場合であつても、右委託行為は前掲各法条に違反し、食糧管理法第九条、第三十一条に基いて処罰されるべきものと解するを相当とするのみならず、原審第二十回公判調書中証人早川治の供述記載その他原審証拠調の結果に徴すれば、前記の物件が受託者に引渡されたことは勿論、その後現実に輸送されるに至つたことをさえ、これを看取するに足るから、此の点に関する論旨はその理由がない。なお、凡そ他人に対し或物件の輸送を委託する行為の中には、これを輸送の共謀と観察し得る場合をも、包含することを考え得ない訳でないが、原審並に当審証拠調の結果を検討すれば、本件の場合、被告人田中の所論の行為は、これを食糧管理法施行規則第四十七条に所謂輸送の委託と認めるを相当とし、共謀に依る輸送と認定すべきでないと考えられるから、この点に関する論旨もその理由がない。
(裁判長判事 高城運七 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)